2007/01/01

3000円で救える命がある

昨年末、夜遅くまで仕事をして家に帰ると、ポストに1通のダイレクトメールが入っていた。
ユニセフからのパンフレットだった。なんで俺のところにこんなDMが来るんだ……募金活動なんかしたことないぞ? と思って封を開ける。興味をそそられたので一応目を通してみた。
パンフレットには「3000円で救える命があります」とあった。世界にはワクチン接種すらできずに死んでいく子供がいっぱいいて、毎日何百人という子供が死んでいるのだそうだ。
数日経った今冷静にその謳い文句を考えてみると、なんかどうも詐欺くせぇなという気はする。ユニセフがわざわざDM送りつけて3000円という高額な募金を要求するということが、なんとなくおかしい気がする。

が、本来論じたいのはそこではない。
僕がそのDMの謳い文句を見たときの違和感、そのことについてである。

僕の感じた違和感、そのメインテーマは「3000円で救った命は、その後どれだけの地球上のエネルギーを消費するのか」ということである。
ものすげぇ簡単に言うと、生き延びた子供は物を食うでしょう。暖を取るのに木も燃やすでしょう。食い物を確保するために家畜を飼うでしょう。家畜は草を食うでしょう。貧しい国は、農地は焼畑だし、家畜は放牧でしょうから、相当量の自然資源を消費することになるわけだよ、子供ひとりを救うことで。
また他の面に目を向けてみると、資産の少ない国で人口を増やすとその国では賄いきれなくなって貧富の差が生まれて、別の社会問題となるだろう。そのまま内戦に突入する国もザラにあるだろう。
まぁとにかく、地球環境の破壊につながることだと考えられる。何も考えずに援助して生かしておくというのはいかがなものか。実際中国が経済発展を遂げた今となっては、その消費するエネルギーの問題や環境破壊の問題が日本を直面しているではないか。援助しておいてしっぺ返しされたのではたまったもんではない。

貧困対策を行うには、国が豊かにならないといけない。アルゼンチンは病院に医薬品がないが、どうすれば病院に医薬品を置くことができるのか。医薬品を援助することでよいのか。インドネシアには職がなく社会保障制度も貧弱なので、ゴミを漁ってその日を暮らす子供が大量にいる。どうすればインドネシアに職を、社会保障制度を充実させることができるのか。ODAで十分なのか。
ひどいことを言うようだが、これらの国には他の国に打ち勝つ「競争力」が足りない。いくら援助したところで、それはきりが無い。5年経っても10年経っても今のままだ。
よくユニセフのポスターに、餓死寸前に追い込まれたアフリカの子供の写真などが利用されるが、これらを救う方法は残念ながら無い。今の地球のシステムでは、60億人全員が幸せに、健康の不安なく、貧富の差なく生きていくことはできない。地球上の富の総量は決められている。そのパイを取り合っているだけだ。そのパイを我々が独占している以上、不幸にも富の分配から漏れたメンバーについては「座して死を待つ」しかできないはずなのだ。

ユニセフに3000円を寄付して、子供に病気のワクチンを打つ。その行為にどれほどの意味があるのか?
競争力の無い国に生まれた子供は、死ぬべくして死んでいるのだ。そればかりは仕方の無いことだ。戦争や内戦は、人間による自浄作用ですらある。「そのエリアに、そんな数の人間は住めない」ということが分かった以上、どうするのか。殺しあって奪い合うのだ。古来からそのループで生きてきたし、どんな動物でもそうやって生きている。
ODAやワクチンは、いわば「肉食獣が増えすぎて草食獣がいなくなったから、肉食獣に肉を与えて殺さないようにする」という行為に似ている。その国で賄いきれない人間は、死んでいくのが本来は妥当なのだ。
逆に我々は、「富が集中しているからこそ、人口を増やすことができる」と言える。つまり、その土地で生きていく人間の総量のキャパシティーがでかいのだ。富の集中から漏れた途端、その人口を維持することができなくなる。日本が右肩上がり前提で年金制度を構築して、今それが維持できなくなっている事を考えればそれは自明だ。そうならないために、富を集中させ続ける努力を我々はしているわけだ(実際に富の集中から漏れたら、上記の発展途上国と同様に、どの国も根本的な解決をする援助はしてくれない。座して死を待つしかなくなる)。

無駄に救うな、キャパシティーオーバーの人数持つな、座して死を待て、死ぬのが嫌ならば競争力をつけろ。3000円のワクチンなど打たずに、死ねばいいのに。
それが、今回ユニセフのパンフレットを受け取った俺が抱いた感想である。パンフレットの目的とは真逆の結論となったが、それを考えるきっかけとなったという意味でもパンフレットには意味があったといえるだろう。

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