2014/09/03

ネット炎上とは、議論とは

今日は趣を異に、ネット炎上と議論、というものをテーマにしていこうかなと。
これはですね、まぁご存知かもしれませんが私の大大得意ジャンルです。
風呂敷をでっかく広げますけども、日本の中でもトップクラスの炎上エンターテイナーですよ、ぼかぁね。

なに、その職業。初耳。そりゃそうよ、だって今考えたもん。
いや、そういうのはもういいんで。

とにかくネットで祭とか炎上とかの状態になった時、どうすべきなのかというのを書いていきましょう。

まずは、分かりやすさとキャッチーさを優先して箇条書きで。
そのあと、それぞれについて具体例とか、細かい意図を書きます。
で、最後にこの「ネット炎上対応策」と「現実の議論」について、どのように似ているかを書こうかなと。
なるべく文体も簡潔にいこうかなと思うんで、超長いですけど興味ある人はぜひ目を通してくださいな。


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■ 1. 前提

ネット炎上の対応、といっても頭に血が上ってカッカしている状態では悪化させるだけ。
まず対応で目指すべき方向を確認。

  • 1-1. あくまで目的は、誤解を解くこと
  • 1-2. 言い負かす事は、手段であって目的ではない
  • 1-3. 「荒らしはスルー」は本当はいい手段じゃない。ただ本気で向き合うつもりがない時の次善策
  • 1-4. 本気で向き合うには手間暇がかかる事を覚悟する

ここはサラリと流しますよ。気持ちを落ち着ける必要がある時、これらの前提条件を振り返るべきだよーというだけの内容です。
よくありがちな掲示板に本人降臨でレスバトル、みたいな行為。これはとてもじゃないがいい方法ではないです。

なぜなら、ここに書いた前提を守るのが非常に難しいから。話も脱線しやすいし、まとめようとしてもまとまらないし、むしろ話をこじらせようとする連中に餌を与えるだけになるから。
具体的にどう対応していくべきなのかは項3を参照。

■ 2. 勝利条件

言葉はあまり良くないかもしれないが、こちらにとって「勝利」とは何かを定義づけよう。

  • 2-1. 祭状態、炎上状態の収束
  • 2-2. 他人が見た時、自分の方が正しいことを言っているように見えること
  • 2-3. 一定の評判の回復ができること

ここで誤解してはいけないことを整理しよう。これは後節でも度々登場する大事な概念なので通し番号を振っておく。
  • 大事なこと1
    数多くの叩いている名無しは、敵ではない。オーディエンス(観客)である。彼らをできるだけ味方につけるために努力しろ。
  • 大事なこと2
    100%の勝利はない。どれだけ理論立てても感情的に荒らそうとする人間は残る。
    ※補足:しかし90%勝利しておけば、残り10%をその90%が排除してくれる。
    その10%はアンチとして残るが、90%勝利しておくことでそのアンチに対して「反論もできずに荒らしまわるだけのクズ」というレッテルが貼れる。これで勝利条件を満たせる。
  • 大事なこと3
    逆に100%の敗北もない。
    ※補足:しかし10%残ろうが20%残ろうが、それは「残った信者」としか映らず、勝利条件2-3は満たせない。
    もし50%以上の勝利をする気力がないならば、最初から1-3の「荒らしはスルー」を選択すべき。
  • 大事なこと4
    事実の積み重ねは大事だ。筋は必ず一本通せ。ブレるな。同じ事を言い続けろ。
    ※補足:大筋ではなく細かい方針変更などのときも、堂々と「今まではこう思ってこうしていたが、こういう意見もあるのでこうします」などと宣言する。
    自分の主張がいかにブレないかと、叩いている側の主張がいかにブレているかを時系列に事実を並べていくだけで自分が正しいことのアピールになる。
  • 大事なこと5
    この世に100%正しい事なんてない。探せば自分にだって必ず非はある。

特に、もっとも炎上対応がマズいケースでは1.を誤解している。
味方にできたはずの層を、対応のマズさで敵にすることが多い。大多数は事実を良く知らない連中で、騒ぎたいだけだ。
もし相対する相手も特定の人物の場合、こちらの対応が良ければその大多数の攻撃対象を相手側に向けられる。
特定の相手がおらず祭状態を楽しんでいるだけの大衆が相手の場合、こちらがもっともらしい言動を取ることで祭状態への参加人数が漸減していく。

■ 3. 行うべきアクションと心構え

ここでは、炎上を収束させる手順を、具体例を交えて説明する。

炎上を収束させようとしたとき、行うべきアクションの大筋を書く。

  • 3-1. 意見を汲み取るためのパブリックな場を用意する
  • 3-2. 叩いている側の主張をまず理解すること
  • 3-3. もらった意見に対し、必ず何かしらのリアクションをすること

上記について補足する。
3-1.について。
2chなど掲示板で進行している祭に対して、そのスレッドに降臨して話を聞くことは不可能だ。そこは逆に荒らし側の本拠地でもある。最初は形勢も悪い。流れが加速すると見落とす可能性も高い。無関係なレスも読まねばならず効率が悪い。

わざわざアウェイで戦わない。
無料掲示板でもなんでもいいので、荒らしの本拠地では無いどこかで文句のある人専用の場所を用意する。

その場合、一問一答形式になることが読み手としても望ましいので(これはつまり味方についてくれるオーディエンス向け配慮)スレッド形式の掲示板や、返信は別の枠で表示されるような掲示板などを利用することが望ましい。
これを行うことでのメリット・デメリットは……
  • メリット
    - 早期に祭会場(2chなど)の沈静化が図れる
    - アウェイで戦わなくてすむ
    - 問題と無関係な発言を読まなくてすむ(こちらの作業軽減)
    - こちらの考えを後から見た人が把握しやすくなる(オーディエンス向け配慮)
    - 後で問題点を列挙・整理しやすくなる
  • デメリット
    - 特になし
というように、特にデメリットなく、まず沈静化に向けての第一歩が歩みだせるという素晴らしい方法だ。

3-2.および3-3.について。
すぐ顔真っ赤になっちゃう人の特徴として、相手の言っている事をすぐに否定したがる。
これは、本当に本当に良くないクセ。

自分が叩かれている→自分が叩かれている理由が書きこまれる→即反論、即否定、の流れね。
これで「自分の中では」叩かれている理由をひとつ消した気になるだろうけど、全然そんなこと無い。むしろ「人の言う事聞かねぇ。ダメだこいつ」って思われる。

例えば……
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Aさんは動画の中でブラックジョークとして「私は人種差別と黒人が大嫌いだ」と言いました。
それに対して「人種差別発言だ、差別主義者だ」と叩きが始まりました。
しかしAさんは「いやいや、『人種差別が嫌い』と言いつつ即座に『黒人が嫌い』と差別発言をするという矛盾を笑うジョークだろ。なんでそんな事がわかんねぇんだよアホが」と思いました。

Aさんは問いました。「何が問題だというのか?」
叩いている人から「ブラックジョークがテーマでもない動画で、人種差別をテーマとしたブラックジョークを言うこと自体が誤解を招く言動である」と言われました。
しかしAさんは「いやいやいや、いくらブラックジョークがテーマじゃないっていっても、普通わかるでしょ! 差別発言がしたいわけじゃないことも。一行で簡潔にまとまった簡単なブラックジョークを動画の中に入れることもできないのか!?」とリアクションします。

叩く側の人間がわざわざ「なぜ叩くのか」を教えてくれているのに即否定してくるので、そういう一部の親切な人もゲンナリ。「人の意見を聞こうともしない」というマイナス要素まで追加されてしまいました。
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ってな感じになる。「大事なこと1」を理解していないためだ。
では、どうすればよいのか?
「相手の言う事をすぐに肯定したがる」ようにしよう。

やり取りが稚拙な人ほど「否定=論破」のようなイメージを持っているようだ。全否定は論破ではなく、ただの拒絶。
自分の事なのにもかかわらず、客観的な視点を持つ。とってもとっても難しいこと。「客観的になれ」とだけ言われても、どーすりゃいいのか分からないだろう。

まずは「相手の言う事に同意しよう」と努力する必要がある。それが客観視の第一歩だ。
なぜこれが客観視の第一歩かというと「相手の視点に立つ」ことが、客観視にとって何よりも大事なことだから。
そこで相手の視点に立つことで「相手が何を問題と思っているのか」を仮にでも定義することができる。これが大事。逆に叩いている側も、実は言葉として問題点を定義できていないことが多いので、逆にこちらから提示することもできる。
「あなたが問題と思っているのは○○○な事かと思います。あっていますか?」といったように。

全肯定しろと言っているわけではないよ、念のため。
「相手に最大限同意する、同調する、同じ視点に立つ」努力をしつつ、逆に「自分が否定したいポイント」を抽出する。
先ほどのAさんの例でいうと「差別主義者である」という点を否定しなければならない。
これが「大事なこと4」である所の「ブレずに筋を通す」に繋がる。

では、相手の意見に同調しようとするとどうなるか? Aさんの例を使うと、以下のようになる。

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Aさんは動画の中でブラックジョーク……<中略>
叩いている人から「ブラックジョークがテーマでもない動画で、人種差別をテーマとしたブラックジョークを言うこと自体が誤解を招く言動である」と言われました。
↑ここまで同じ↑
Aさんはなるべく同意しようと考えたところ「なるほど、ただ動画が観たかっただけの人にも、決して上品とは言えない(つまり、見たくもない、不愉快だと感じる人もいる)ブラックジョークを必ず目につく形で視聴者に提示したわけだから、そこは配慮不足だな」と思い至りました。

動画サイト内に掲示板を設置し、問題とされているのは上記の部分かどうか確認をとり、不特定多数との間で合意が形成されました。
これで問題点がハッキリしました。「望まない人にもブラックジョークを提示したこと」、これが問題点です。
と同時にAさんは「差別主義者という罵倒は、問題点の本質とは全くかけ離れている。あえて曲解しない限りは、とても『差別主義者』などという的外れな解釈にはなりようがない。『差別と黒人が嫌い』という単純な矛盾ジョークを理解できないわけがないのだから。つまり『差別主義者』という罵倒はただの荒らし」という本当に否定したい部分も見つけます。

Aさんは動画にブラックジョークを入れた事を詫び、しかし「差別主義者」という罵倒がいかにトンチキな事を言っているかを説明しつつ、当然自分が差別主義者ではないと否定しました。また他に意見がある人がいれば、動画サイト内の掲示板を利用するよう促しました。
一部のアンチは残りましたが、大半の人は矛を収めました。
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こうなることを目指す。「大事なこと2」、100%の勝利はない。アンチが残ってぴーぴー喚き続けても、そこはもういちいち相手しない。敗残兵だ。こちらの言っている事も筋は通っているので、仮に掲示板でぴーぴー言われても簡単に一蹴できる。また、簡単に一蹴したという事実が、さらにオーディエンスの心象を良くする事につながるので、ニコニコして相手してやればいい。荒らしがアホな事を言えば言うほど有利になる状態に、すでになっている。

あと、一定の解決を見た時には、炎上の規模大小によって適した発表方法にすること。
Aさんの例だと、ただの自分の動画だけなので動画の説明文にでもちょっと書いておけばいい。
もっと大きな問題となった場合は、ブログ等でいいので Web 上で閲覧できる箇所に結論を発表するとよい。

文章は人によって巧拙あると思うが、あまり得意ではないという自覚がある場合は身近な人に推敲を頼もう。
以下の要素が入っている必要がある。もちろん、可能な限り自分の感情は排除すべきだ。
  • そもそもの経緯
    → 例:Aさんが動画をあげたらブラックジョーク部分が叩かれた
  • 問題とされた事柄
    → 例:望まない人にもブラックジョークを提示したこと
  • 自分が悪かった部分は謝る
    → 例:配慮不足ですいません
  • 悪くない部分は絶対に謝らない
    → 例:「差別主義者と誤解させてすいません」みたいなのも含めて書かない。自分が反論したい根源の部分だから、そこでは譲らない。自分の主張は「あれで差別主義者とか言い出す奴はおかしい」なわけだから、それを打ち消したり薄める内容はダメ。
  • いかに自分が悪くないかの説明をする
    → 例:「差別主義者とするには余りにも無理があり、あえて曲解して難癖をつけたいだけ」みたいな感じ。

☆☆☆☆☆
 まとめ
  • 相手の主張を聞き出せ
  • 同意できる部分を探せ
  • 特に「問題点」を合意形成せよ
  • 否定したい部分を抽出せよ
  • 後から追加の問題点を出された時も、怒らず無視せず合意形成からやり直す
  • 相手が特定個人だろうが不特定多数だろうが、誠意をもって対応しろ
  • 結果を公表しろ
※誠意を見せるためには、もらった意見に全レスするのが理想的。
※全レスが難しい場合は、いくつかの意見をまとめて本題の部分のみ合意形成するなどの手法で負荷を軽減。
※全レスしない理由は明確にする。「忙しいので」とか「自分の時間すべてをこの問題に使いたくないので」とか。
※まとめてレスする場合、いつレスするかは明確に。四六時中掲示板を監視してろ、という姿勢は誠意がない。
☆☆☆☆☆


■ 4. ネットでの議論

ここでは、なぜ第3項の手法でネット炎上は収束するのかを説明する。

先ほど第3項で書いた事を行う事で、「ネット炎上」から「議論」に発展している。
ネット炎上は発散・拡散し、時間以外で沈静化はせず、自分の評判は傷つけられたままだ。
議論になることで、こちらにも釈明の機会が与えられ、かつ叩いている材料が必ずしもすべて事実ではない事を発信できる(デブとかブスとかハゲとかキモいとか、そういうのは事実じゃなかったとしても否定するのは困難だけどね!)。

どの時点で「議論」に昇華しているのだろうか?
それは「3-1. 意見を汲み取るためのパブリックな場を用意する」の後からだ。
こちらで用意した場に入ってくる人間は、少なくとも何か自分の意見を持っている。それを書きに来る。

ただの炎上中は、そういう次元ではない。
「あいつ差別主義者だからな」「まじかよキモー」「犯罪者予備軍だな」「ていうかすでに犯罪者かもしれない」「子猫ぐらいは殺してるだろうな」
そんな掲示板上でまともな議論ができるわけがないし、そもそも「何が問題なのか」を整理することもできない。たぶん叩いてる本人も分からない。

それは、一旦「Aさん=差別主義者」が書かれると同時にそれは既成事実となり、その後思い思いに「差別主義者といえば」を語りだす人達が参加する。もはや問題の根源うんぬんはどうでもよく、ただ気持ち悪いやつをなじりたい、それだけになってる。
だから、 3-1. は絶対に必要なアクションなのだ。

そして 3-2. が来る。
「相手の主張を理解する」
これは文字で書くのは簡単だけれども、たとえば仕事の会議とか打ち合わせとかで意見が対立した場合にも、コレができる人間は本当に少ない。日本人は議論が下手とよく言われるけれど、相手が何を言いたいのかを理解するのが下手なのだ。
周囲と合わせるのが当然な文化が育まれた裏返しかもしれない。まぁそんな日本文化論はどうでもいい。
第3項の補足でも書いたように「相手の言ってる事を肯定したがる」ことで、大分マシになる。
はず。

相手の主張を理解することで、意見が対立しているのはどこかが分かる。
さっきのAさんの例だと、実はAさんが否定したいポイントと叩かれているポイントはズレている。そのズレをまず認識しないといけない。認識するためには、まず相手の主張を理解しないといけない。さらに言うと自分の主張も理解しないといけないのだが。

「俺が言いたいのはコレ」
「あなたが言いたいのはコレでしょ?」

を揃えてテーブルに乗せる。
整理してみて、初めて同じ議題なのか、違う議題なのかが分かる。違う議題だったら、それぞれについてリアクションする。

同じ議題だったら、そこからが初めて論争だ。しかし争わなくてもいい部分は排除できる。
「対立軸はどこなのか」を明確にするというのは、自分にとっても相手にとってもすごく大事だ。向かっていく方向が分かりやすくなる。叩いている側もお互いの考えの違いを認識でき、納得しやすくなる。

極端な話でいえば、小泉の郵政選挙。あれは実にポピュリズムの極みだったけれども、庶民にはウケにウケた。私もその一人。
なぜウケたかといえば、対立軸が猛烈に分かりやすかったから。郵政民営化に賛成か、反対か。小泉自身もメディアに出たときに「郵政民営化に賛成か反対か」を発言していた。
庶民からすれば、そこが対立軸なんだな、だったら俺はこっちに賛成だ、と支持を単純化できた。


規模は大きく違うが、ネット炎上だって同じ事。ネット炎上の場合は、そもそもモメている相手が対立軸を分かってないのだ。
その対立軸を明確化すること。これで相手にとっても「納得して引き下がる」余地が生まれる。もちろん、こちらにとっても「譲るべきポイント」が分かる。自分にダメージが少なく、筋が通っているものについては積極的に謝っていける。それにより相手も一定の満足を得られる。

要するに「落とし所」をすり合わせるために必要な行程なのだ。

すこし話が逸れるが、感情の問題(たとえば「俺は平気だと思って動画作った」と「俺は不愉快だった」の対立)だったら、それは平行線なのでキレイな結論なんて出ない。曖昧な感じの、こっちが一歩譲ったカンジの結論でお茶を濁していこう。

話が逸れたついでに、あまり本質ではないが「議論」に持ち込むことで炎上が収束するもう一つの理由がある。
それは「叩いている側がめんどくさくなる」からだ。
炎上は、叩いている側はただ楽しくてやってる。お祭り騒ぎが楽しい。
それが、突然真顔の相手がやってきて「どこが問題点なのか整理しましょう」なんて言われたら、なんだかもうそういうノリじゃなくなる。だから騒ぎたいだけの奴は、速攻でどこかにいなくなる。
で、残って意見を書く人は、嫌な言い方をすると「自分の正義感で叩いている」人達だ。こういう人達は、実はお祭り騒ぎがあまり好きではなくてどこかで収束させたいとも思っている。
だから、議論に持ち込んだら、その時点で炎上は収束に向かっている。

ただ、その後の方法論を知らなければ結局場所を移して炎上するだけ。下手すれば大手を振って騒いでいい、お祭り会場を用意しただけになる。しかも残ったのは正義感を振りかざしている面倒くさい連中だ。傷口を余計に大きくしかねない。
だから、その後の対応は大事。

話を戻して、この項で書いた事を簡単にまとめよう。

☆☆☆☆☆
 まとめ
  • 議論の場を作り、相手との対立軸を明確化することで、叩いている側も一定の満足度が得られる
  • 対立軸を明確化する時に、あわせて落とし所もつくる
  • 叩いている側には二種類の人間がいる。
    (A) 炎上が楽しくて叩いている
    (B) 正義感で叩いている
    このうち (A) は勝手に去る。 (B) は真面目に相手して、満足を与えて納得してもらう。
☆☆☆☆☆


■ 5. おまけ(終わったら徹底的に叩け)

この項はおまけ。冗談半分で読んでね。
ネット炎上を仕掛けた相手が特定個人の場合、勝ったら徹底的に叩く。
相手の態度によっては、それまでのあなたとのやり取りのチャットログを公開したり、いままでの行為をまとめて突きつけ謝罪を要求したり、とにかく今まで受けたストレスをぶつけてやればいい。
今まで誠意をもって対応していれば、その事実の積み重ねが攻める時の材料になる。

尻すぼみで終わらせると、オーディエンスにもどういう結論だったか分からないので宣伝の意味も込めてブチギレてやればいい。
相手を叩くこと、そしてそれに対する反応含めて、それらが自分の勝利宣言となる。

(実際には別に叩かなくても、ブログ等で「○○○な経緯でこの件は解決しました」とか穏便に終わらせてもいい。っていうかそれが普通)

せっかく落とし所を作って一旦解決したにも関わらず蒸し返してくるような場合も、それは相手を叩く材料になる。
こっちは炎上対応できても相手はうまくできないだろう(落とし所を無視してくる時点で、相当おつむがアレだし)から、徹底して叩けばいい。オーディエンスはあなたの味方になる。


■ 6. 「議論」とは

ここでは、現実世界の「議論」について書く。

さて。ここまではネット炎上の対応策を書いた。
第4項で書いた事は、現実世界での議論でもまったく同じことが言える。途中、例として仕事の会議の話を出したがそれの繰り返しとなるかもしれない。

上述したような「相手の主張を理解する」が、議論で一番大事なことだと言える。
また、細かい話術テクニックの話になるが、相手の意見を聞いた時に最初に同意のアクションを取ると話がスムーズになりやすい。
これも、結構重要。あくまで心理的な効果の話だけれども、お互い気持よく話し合いができる。

「相手の主張を理解する」ためには、まず「相手の立場に立つ」ことが必要で、相手の立場にたてば「同意のアクション」は取りやすい。全部一連の所作なのだ。

たとえば「田んぼをつぶして高速道路を作ります」なんて時、行政側と農民側で対立が起きたとする。

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農民「先祖代々続いてきた田んぼをつぶすなんてとんでもねぇ!」
行政「法律で定められた手順を踏んでいますので、この計画には何も問題はありません」
農民「なーんだとこのやろう!」
行政「ご理解いただけないならば行政代執行という手もありますけど」
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みたいなやり取りしたら、そりゃもう大問題だろう(といっても現代は環境アセスメントとかがあって住民の合意というのは公共事業にとっても大事なファクターの一つだから、上記の例のようなことは簡単には起きないだろうけどね)。

ここでは、自治体側は農民の立場に立って考える必要がある。
農民側の不満は何なのか? そこを吸い上げていく。まさに「相手の主張を理解する」とか「対立軸の明確化」だ。
農民に「何が不満なんですか」なんて聞いても、それはそれでうまくまとめられないかもしれないし、傲慢な態度と取られかねない。ここは行政側ができるだけ想像力を使って、もし自分が農民の立場だったら、と考えて不満であろうポイントを探す。

たとえば
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行政側で検討した結果、以下のような不満があるだろうと推測された。
・田んぼつぶされたら収入がなくなる
・交通の便が悪いから、この家から会社勤めなんて遠すぎて無理
・そもそも開墾時代の苦労が民話として代々伝承されていて、感情的にはできるだけ農地として存続させたい
それぞれに対して、行政として最大限の対応策を用意して農民との話し合いに臨んだ。
農民「先祖代々続いてきた田んぼをつぶすなんてとんでもねぇ!」
行政「みなさんの不満はごもっともです。コレコレな部分が不安かと思います。いかがでしょうか?」
農民「まぁそやね」
行政「では、カクカクシカジカな対応策を用意しました。これでご納得いただけますか」
農民「うーん、色々考えてるんやね」
行政「この高速道路ができると、アッチとコッチが繋がって、こんな効果が期待できてこんな感じの未来が来るはずです」
農民「なるほどねぇ。まぁしゃーないね」
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みたいな感じに。
いや、わかってるって、そんなあっさり引き下がる地元住民なんていないよね、知ってる知ってる。けど例え話だから!

まぁとにかく、最初のやり取りのように「自分は間違ってないから」を繰り返しても、相手との溝は埋まらないし対立軸も明確にならず、双方にとって不満足なやり取りに終始してしまう。
自分が間違ってないかどうかとかはさておき、相手が何を言いたいのかが最優先事項だ。
それを想像できるならば、自分が何をしたいかも明確にできるはず。
相手のしたいことと、自分のしたいこと。これで対立軸を明確にして、議論を構築していく。双方が納得いく結論が導き出せる。

上の例文をみて「議論じゃなくて説得じゃないか」と思ったかもしれない。
説得と議論は似ている。本質は一緒だ。
自殺したい、って人に対して、その自殺が生むマイナス効果(親が悲しむとか)や自殺しなくてもすむ対案(お金に困ってるなら生活保護制度があるよ、とか)を出して説得する。これは、対立軸といってもいい。

自殺は得か損か。死ぬとアレとかコレとかの苦しみから解放される、という主張。
それの対案として、アレにはこういう対策、コレにはこういう対策があるよ、という主張。
判断した結果、自殺を思いとどまるという結論になる。
おんなじなのだ。

「議論」と言われる行為の8割は、対立軸の明確化作業だ。それで結論が出る速度も決まる。
本当に対立している部分の意見をぶつけるのは、当事者同士ならばメリット・デメリットを出し合って総合的に良さそうな方を選択すればいい。方向性が根本から違うならば、それはすり合わせようがない。どちらかが折れるしかない。

ラジオつくってた会社が「これからはテレビの時代だから、うちもテレビを作ろう」という話になったとしたら、テレビを作るために必要な技術、設備投資費、マーケットのでかさ、などをベースにして良さそうな方を選択すればいい。
インディーズバンドが「メジャーデビューしよう!」という話になったら、自分たちの音楽を自分たちで作っていくのが楽しい派と成功していくのが楽しい派で意見は噛み合わないだろうから、どちらかが折れるしかない。方向性の違いで解散、ってやつ。
そんな感じ。

上記の例のように、本当に対立している部分は言葉で解決する問題ではないのだ。
ラジオの例の場合は、優良なデータを用意する必要がある。いかに良いデータを集められるかが意思決定のキーだ。
インディーズバンドの例の場合は、もう心境の話なので当事者同士ので気持ちの整理をつけるしかない。メンバーの気持ちの高揚が意思決定のキーだ。

現実世界においてもネット炎上対応と同じようなことができれば、あなたも朝生の司会ぐらいはできるようになるだろう。

以上。

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私の思う「ネット炎上とは、議論とは」はこんな感じです。
大変長かったですけど、みなさんちゃんと読みました? 結構いい事書いてますよ。我ながらね。
もう、もはや「ネット炎上対策の教科書」といってもいい出来。うっとり。自分で書いて自分でうっとり。
って、超長文書き終わったテンションで自画自賛してるけど、後日読み返したら大したことねぇなってなったりするかもね。もし大したことなかったらゴメンね。

ちなみに例にだしたAさんとは、かつての私のことです。

4 件のコメント :

  1. 大人になったAさんうっとり

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    返信
    1. 大人になる、って言葉も難しいですなぁ。
      よく「ここは大人になってグッと我慢」みたいなのよく聞くけど、大人になるってのは黙って我慢することじゃなくて、ここで書いたように徹底的に立ち向かうことだと僕は思うのだけれど。

      削除
  2. 考えてることを文章にするのお上手ですよね。私は考えているうちに良くまとまらなくなってしまいがちなので。
    「5、おまけ」の所の勝ったら徹底的に叩けって内容も面白かったです。
    今回の内容を修得すれば田原総一郎みたいになれるのかぁ…巧みな挑発を交えて論戦を煽る人になれちゃいますね。(←田原さんのイメージ)

    返信削除
    返信
    1. いやー、無駄に長くなることも多いので、そこまでまとめるのはうまくないですよ。推敲する時間結構取ってコレですからねー。
      田原総一郎は、僕の中ではあまりいい司会者とは言えないと思います。本来の意味ではね。なぜなら、司会者であるにも関わらず論客を差し置いて「僕はこう思う」という意思表示をかなり頻繁にしますからね。
      ただ、逆に彼はちょっと挑発的でありながらも「今話し合うべきテーマ」を自分から提示する力はあると思います。今回書いた「対立軸の確定」がうまい印象ですね。彼がピンボケな軸を作ってしまうと、意義のない話し合いになってしまうこともありますが。

      だから、招いた論客から「どうお考えですか?」って聞きだす工程を踏めば、田原総一郎を超える司会者となれると僕は思いますよ。

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